IHP処理はチタンなど難加工材の切削やプレス加工を可能にする表面処理です

プレス金型のIHP処理

プレス金型のIHP処理について

IHP処理は元々は金属を薄く延ばす圧延加工のロール用に開発されました。
近年では高機能材を始め、高張力鋼(ハイテン)やチタン合金など、様々な材料に対応するためには、従来のSKD製ロールでは限界がありました。
圧延ロールを超硬やハイス鋼、セラミックで製作したり、表面処理もDLC、窒化チタンコーティングなど様々な方法を試しました。
そのなかでもセラミックロールが突出して性能が優れていましたが、製造コストがSKD製のロールの5倍と高コストで、メンテナンスもメーカー対応のため同じく高コストでした。

 

セラミックロールは高硬度だけでなく「表面のマイクロディンプル」が特徴で、唯一チタンが融着せず圧延加工が可能でした。
これは表面のマイクロディンプルが潤滑油を保持し、摩擦熱の発生を抑え、チタンの融着を防止できたからです。

 

IHP処理はセラミックの長所を低コストに表面処理で再現しました。
「マイクロディンプル生成」+「表面硬化」+「金属組織の微細化」この3要素で難加工材の加工を可能にします。
IHP処理の効果をぜひお試しください。

 

弊社は圧延加工メーカなので、塑性加工としては高圧の圧延加工で効果を検証しています、しかしプレス加工は行っていません。情報は協力会社のフィードバックによるものです。
現在共同開発頂けるプレス加工メーカー様を募集しています。よろしくお願いいたします。

金型のIHP処理のポイント

安価な処理コスト

IHP処理はメッキやコーティングではなく容易に処理ができます。サイズにもよりますが処理費用が数千〜数万円で処理ができ、再処理もリムーブが必要なく容易にできます。

 

摩擦と加工熱の減少効果

IHP処理は表面のマイクロディンプルが潤滑油を強固に保持するため、ワークと金型の直接接触を防止します。いわゆる流体潤滑状態になるため摩擦が減少し加工熱の発生を抑えます。

 

耐摩耗性の向上効果

摩耗は金型とワークが接触する状態(境界潤滑)で発生します。IHP処理は流体潤滑を強固に維持するため、ワークと金型は直接接触せず金型の摩耗を大幅に抑えます。

 

カジリ、融着を防止する

IHP処理は、チタンなど金属親和性の高い材料のプレス加工が可能です。ワークと金型が直接接触しないため、可能熱による融着の発生を防止します。

 

マイクロクラックの防止

IHP処理により金型表面の金属組織が微細化します。それによりマイクロクラックが発生する起点が減少するため金型の寿命が延びn数が増加します。

 

表面硬度の硬化現象

IHP処理の処理過程で、瞬間的に表面が再結晶温度を超えます。それにより表面に焼き入れ効果がえられ、SKDで硬度がHRC58→70前後まで硬化します。

金型のマイクロクラックの発生防止について

IHPロール

金型の寿命は、摩耗による使用限界まで使えれば理想的なのですが、虫食いといわれる表面の剥離やマイクロクラックが発生すれば、金型の使用期間が短くても使用不可になりイニシャルコストを悪化させます。
コーティング剥がれも同様で、コーティング層が摩耗するまで使用できれば良いのですが、1箇所でも剥がれが発生すれば修正が必要になります。

 

IHP処理は鍛造加工の応用技術なので、金型表面の金属組織を微細化させる効果があります。

 

金属組織が微細化すると延性が改善し金属疲労の蓄積が減少します。
また、金属組織が微細化することで、マイクロクラックの発生源となる起点が減少し、クラックの成長も抑制します。

 

IHP処理の効果で金属疲労に優れ、剥がれ、クラックの発生を防止し金型の耐久性が向上します。


金型の耐久性向上の考え方のついて

当たり前の話ですが、金型寿命までの加工個数が、倍になれば金型のイニシャルコストは1/2となり利益率は改善します。
よって金型の耐久性を向上させるため、様々な表面処理が開発されました。

 

金型の摩耗を防ぐためには、「潤滑特性の改善」、「金型表面の硬化処理」に分けられると思います。
潤滑油も粘度だけでなく、極圧特性を改善した高分子タイプや浸透性などが開発され潤滑性能は著しく向上しました。
表面の硬化処理も窒化チタンやDLCなど超高硬度の表面処理が開発され耐摩耗性も従来とは比べ物になりません。

 

しかし金属の塑性加工は過酷な条件で、コーティング(メッキ)の剥離する問題があります。
金型表面に卵の殻のような硬い皮膜が乗っているような状態で、熱膨張係数や歪の差で剥離が発生します。DLC処理などは剥離が発生しなければ、かなり長期間使用できるだけに剥離問題は深刻です。

 

再処理(再コーティング)も考慮する必要があります。
再処理をするためにはコーティング層すべてを剥離する必要があります。しかし高性能な皮膜は剥離が難しく、DLCなどは再処理を受け付けていないメーカーもあるので注意が必要です。

 

弊社のIHPもそうですが、近年になって高硬度なコーティングによる耐摩耗特性から、潤滑特性を改善し「流体潤滑」を強固に維持させ、ワークと金型の直接接触を防止し、摩耗を防ぐ方法が開発されました。
ワークと金型は油膜により直接接触しないため摩耗の防止だけでなく、副次効果でカジリ、融着、焼き付きの防止の効果もあり、自動車用のハイテン鋼やチタンなど難加工材の加工用にも利用されています。

 

処理のコストも考慮する必要があります。n数の多い高速プレス加工ではDLC処理のイニチアチブは大きいと思います。
IHP処理は下処理が必要なく、低コストで処理でき再処理も容易なので、費用対効果に優れた表面処理ですが、極小部品や変形抵抗の少ない部品や、高速プレス用よりは、高張力鋼など変形抵抗の大きい材料に効果が発揮できます。

各種表面処理の特徴

IHP処理
メッキやコーティングではなく、金型の表面を機能化させ強固に流体潤滑を維持することで、金型の摩耗を防止する。
メッキなどコーティングでは無いため剥がれの発生がなく、処理及び再処理コストに優れる。しかし潤滑特性を改善することで特性を得るため、無潤滑では効果が発揮されない。

 

DLC「ダイヤモンドライクカーボン」処理
金属表面にナノレベルの薄膜を形成し優れた表面の特性を得られます。
低摩耗抵抗性(高硬度)、低摩擦係数、耐凝着性、赤外線透過性、ガスバリア性、耐腐食性など様々な機能があります。
しかし金型に使用する場合に押さえておきたいポイントとしては、DLC処理は優れた特性を持ちますが、剥がれやすい短所があります。
皮膜が硬く、金型の硬度と差があるため卵の殻のような状態になります。よって金型が扁平を繰り返すと剥がれやすく、面圧を低く抑える必要がある。
DLC処理は優れた特性を得られますが、処理コストが高く、再処理が難しい欠点があります。

 

ハードクロムコーティング(メッキ)
JIS規格では膜厚2μ以上、硬度HV750以上で耐摩耗性・耐食性・潤滑性に優れています。肉盛りめっきが可能で、最大で2mm厚のめっき処理が可能になります。
硬度はHRC60程度で、焼入鋼、窒化鋼と同程度です。処理コストは比較的安価で、用途としては焼入れコストを抑える目的で、生材に処理をし、表面の硬度を稼ぐことで、焼き入れ鋼並みの耐摩耗性を得られれる。欠点は300℃程度まで加熱されると、めっき皮膜中の水素が放出され硬度が急激に低下するので、高温になる条件では使用ができない。
また表面は鏡面に見えるが、実際は粒界が露出しているため、粒界腐食が発生し防錆効果は劣る。

 

窒化チタンコーティング
黄金色のコーティングでドリルや切削工具などでよく目にします。硬度は、HV2000〜2300で、他の表面処理と比べると劣るが、耐摩耗性と靭性に優れるためプレスパンチなどに使用すると効果が発揮される。また600℃程度の温度まで使用できるため、切削工具など局部的に高温になる加工でも使用できる。

お問い合わせ

株式会社日本クロス圧延
TEL0475-22-4151
FAX0475-25-2338
Mail:info@atuen.com
岡まで

 

 

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