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ベクトルインバーターモータについて

ベクトルインバーターモーター

製造から20年くらいの巻取機のモーター修理を依頼されました。

 

その巻取機には動力として直流モーターが使われていましたが、メーカーに確認したところもうパーツの生産は終了していて、部品も欠品という回答だったため、軽い気持ちでモーターをベクトルインバーターモーターに交換しました。1000kgくらいの張力が必要な巻取機なので、22kwのベクトルインバーターモーターを使用しましたが、これがまた苦労しました。

 

モーター自体は最新なので、張力や速度、温度など様々な情報がフィードバック出来て、三菱電機のFXシリーズのシーケンサーとも相性バッチシ!液晶画面に様々な情報が表示できるのも面白いですね。

 

作業自体はそれほど難しくなくて、モーターサイズが違うので下駄をはかせて高さを調整したくらいですかね、サクサクと終了しました。
そして試運転した結果...全く正常に動かないのです。

 

インターロックの迷宮
最初の不都合は想定しているパワーが出ないのです。

 

モーター制御用のドライバには、モーターを壊さない為に様々なインターロックがかかっているので、パラメーターに不都合があると出力をセーブしてしまうのです。
例えば起動スイッチを押してから、回転が上昇する過程で、ゼロ回転から動き始める部分は一気に出力が上がると、テンションが一気にかかってしまうため「クッションスタート」制御で柔らかくスタートさせるのですが、張力がかかった状態でゆっくりスタートさせるということは、交流周波数の少ない状態で負荷をかけることになるので、モーターは負荷の許容値を超えたと判断しインターロックが働き出力を低下させてしまうのです、そうなれば「スタートできない」ということになって機械は停止してしまうのです。

 

クッションスタートをやめて一気にパワーをかけると正常に動作するのですが、いきなりガツンと引っ張ってしまう事になるため、クッションスタートは必要でなんとか対処を考えました。
100以上あるあるインターロックを解析して無効化し、モーターの負荷が許容範囲を超えるけど、一瞬のことだからロックしないでね(笑)とインターロックを解除するのです。

 

その作業がまあ大変なのです。回転の上昇だけでなく、減速時にもインターロックが働き張力が抜けてしまったり、急な負荷の変化でもしかりで、いたちごっこが続いてしまいましたが、おかげでいい経験ができました、次につながるのでそれもまた良しですね。

 

 

ハンチングが止まらない
なんとか動作はするようになりましたが、実際に材料を巻き付けて運転すると回転がスムーズでなく、細かくハンチングしてしまうのです。

 

巻取機は本体の加工機のスピードをパルスでフィードバックさせ、同期させながら材料を巻き取っていくのですが、このベクトルインバーターモータは性能が良すぎて、本体の機械のスピードを正確にトレースしようと頑張ってしまうのですが、追いつくわけがなくワンテンポ遅れるのですが、遅れを取り戻そうと出力を上げたり下げたりを瞬間的に制御するため、結果細かいハンチングという現象が出てしまうようです。

 

ベクトルインバーターモーターは高速な制御に対応できる性能があるので、巻取機のような比較的ダルな機械には敏感すぎるようですね、せっかくの反応速度をユルーく設定して無事解決しました。

 

発電してしまうのです
減速時のエラーは最初原因がわからなくてテンパってしまったのですが、過電圧が原因でした。

 

今まではブレーキが必要な場合は、物理的なブレーキとエアシリンダーを取り付けて、エアー圧で減速調整をしていましたが、この最新のモータには、逆転ブレーキが使用できると技術仕様にあったため、物理的なブレーキは取り付けませんでした。部品点数が減ればコストの削減にもなるし、故障の発生源も少なくすることができます。現にブレーキパッドは消耗品なのです。

 

逆転ブレーキとはモーターに逆回転のトルクを発生させることでブレーキをかけるのですが、逆回転の出力をかけながら正転させるため、モーターが発電機となって電気を発電してしまうのです。
これが悪さをしてしまい、この発電してしまった電気をどっかに捨ててしまわないと、回路内が過電圧となってしまい故障してしまうので、お得意のインターロックがかかって機械が停止してしまうのです。

 

結局メーカー泣きついたところ、回生電流を処理するフィルターを追加してくださいとのことで、余計な費用が掛かってしまいましたが解決しました...が物理ブレーキを取り付けるよりは安価に上がったということでOKかなー
勉強になります

 

 

ベクトルインバーターモーターvsサーボモーター
ベクトルインバーターモーターはどうかといえば、結論としていいモーターです、ただ高性能なので、機械に組み込む段階でそれなりのスキルが必要です。

 

サーボモーターと比較した場合、10kw以下なら迷わずサーボモーターを使いますね、ドライバも熟成しているし自由度も高いように感じます。
しかし10kwを超えた場合、出力の特性からベクトルインバーターモーターはとてもメリットがあります。なんといっても出力と価格の比率で考えても、高出力なサーボモーターなんて高価すぎてなかなか使いにくいのですが、ベクトルインバーターモーターは圧倒的に安いのが特徴です。

 

だからこれからもベクトルインバーターモーターを積極的に使用していきたいと考えています。

 

 

これからの課題
とても気難しい性格のベクトルインバーターモーターを調教するためには、設計の時点で工夫する必要があることが分かりました。

 

まずは何といっても「逃げ」を作ってやることが大切ですね、このコラムでは多くは語れませんが、使っていくにつれコツがわかってきました。
最初はシーケンサーで何とか抑え込んでやろうかと制御に四苦八苦しましたが、その多くが設計で対処することが可能となりました。

 

このモーターに限らず、モーターの出力比率は10:1程度なので、1000kgの最大出力を得るためには最低出力は100kgとなります。
だからスタートしてから100kgまでの間の領域は不安定でたくさんの問題が発生するのです。

 

この領域はインバーター周波数が5Hz以下の領域といえばだいたいわかると思います。
だからこの部分をうまく処理してやることで、急に聞き分けのいい子になってくれるのです。

 

いい経験させていただきありがとうございます。


液晶ディスプレーについて

液晶パネル

最近ではモーターが高機能化してきたので、制御盤も液晶ディスプレーを使用するケースがほとんどです。
そして、これがとても楽ちんなんです(笑)

 

従来だったら制御盤内に大量にリレーを並べて、操作盤にも大量にボタンを取り付け、信号線ですべてつないでいく必要があるので、操作盤から制御盤に通す電線だけでも100本以上!それらにすべてラベルと端子を付けて、つないでいくという作業をシコシコ夜遅くまでやっていましたが、液晶ディスプレーなら物理的なボタンは、非常停止や電源など最小限必要なものだけで済んでしまいます。そしてLANケーブルみたいな細いケーブル1本で済んでしまうので、制御盤の製作日数は激減します。

 

だから液晶を一度使うとやめられなくなってしまいます(笑)

 

 

単純な機械だって液晶です
1モーターの機械だって、液晶ディスプレーを使ってしまいます。
それこそボタンは電源と非常停止だけの超シンプルな構成で済んでしまいます。

 

例えばストロークの制御の場合、従来はエアシリンダーやモーターで駆動して、リミットスイッチで位置決めをする、リミットスイッチとリレーがつながっていて、エアシリンダーやモーターのON、OFFを切り替えるような構成だったので、それなりに配線や部品点数が増えてしまいます。

 

でも最近ではサーボモーターを使用することで、リミットスイッチもリレーも不要になります、液晶画面にストローク量やスピードなどを数値で入力すればOKです。最初は高速で動作し、直前で減速するような制御も楽勝なのです。

 

リミットスイッチなどを使用しないので機械の構成もシンプルになって故障の発生源も少なくなるのでメリットが多いですね。

 

 

液晶ディスプレーってなんなの?
液晶ディスプレーにはまっているわけですが、液晶ディスプレーって何なの?というお話です。

 

装置を制御するのはシーケンサーという機器で、これはいわゆるコンピューターなのです。
シーケンサーにプログラミングすることで、機械の動作を制御します。プログラミングするにはノートパソコンをシーケンサーにつないでから、数十万円する専用ソフトでシーケンサーにプログラムを書き込みます。
プログラムを書き込んだら、パソコンはつないだままで実際に装置を運転しながら、動作のスピードや出力特性のパラメーターを調整していきます。

 

ここで問題なのが、後日になって装置の動作速度を上げたいなど考えた場合、パラメーターを変更するためにはパソコンと専用ソフトが必要なので、電気技師を呼ばなくては設定変更できないのです。
ところが液晶ディスプレーならば、シーケンサーを直接ディスプレーから設定できるので、パソコンをつながなくてもパラメーターの変更が可能になるのです。

 

素晴らしいメリットですね!

 

いじっちゃまずいところはパスワードロックをかけて奥の階層においといて、スピードコントロールなど、よく調整する設定は一番手前の階層に表示することで、自由度の高い装置になります。
またパラメーターを複数保存することで、加工条件ごとに最適な設定値をいつでも呼び出せるようにすることも可能です。

 

ということで、これからさらに操作盤は液晶パネルになってくると思います。

 

 

最近の液晶ディスプレー
ちょっと前までの液晶ディスプレーは正直あまりよくなかったのです。

 

特に工場内で使用するので、油が画面についてしまい、タッチパネルの反応がすぐ悪くなってしまい、そして反応が悪くなると、職人さんのごっつい指でパワー全開で「タッチ」されるので、簡単に故障してしまったのです。
だから液晶ディプレーはタッチセンサー無しで表示だけに使用していたこともあるのですが、最近は改善され耐久性が向上し信頼できるようになってきました。

 

白黒画面の小型の液晶ディスプレーは特に使いやすいですね、サーボモーターとセットで簡単に使えるので、現在では使って当たり前みたいな感じです。ELのカウンターで数字を表示させてくれってよく言われますが、指定がなければ液晶画面に情報を表示させてしまいます。

 

10年後は配線工事は不要になってしまうかもね


サーボモーターについて

サーボモーター

最近サーボモータが手ごろになったので積極的に使用しています。

 

リミットスイッチを使わなくてもストロークの調整や位置決めができ、スピード設定も自由自在で、動作回数のカウントもOK!
リミットスイッチなど余計なスイッチがいらないので、シンプルな構成で多機能になるので使わない手はないですね!
基本的にモーター、モータードライバー、シーケンサー、液晶ディスプレーの4点セットで使用します。液晶ディスプレーはタッチパネルなので制御盤にボタンをたくさんつける必要がなく結果コストダウンにつながります!


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