新素材と製造技術の融合で高機能化を提案する企業連携 │ MM-Lab.

磁気冷凍技術の共同開発

現在FCVは水素を圧縮して車載しているが、将来液化水素を車載することで飛躍的に航続距離を伸ばすことができます。
しかし現在のガス圧縮による液化は、コンプレッサーに大量のエネルギーが必要なため、25%程度の効率なのです。

 

近年開発が盛んな磁気冷却はコンプレッサーを使用することがなく、磁性材に強力な磁石を使用することで冷却する技術で、水素が液化する-253℃という超低温にまで冷却が可能な技術です。
MM-Lab.は共同開発により磁気冷却技術の開発に協力しました。

磁性材料の製作

本開発ではレアアースを使用した磁性材料は将来性とコストの問題からレアアースレスの材料を製作することを依頼された。

 

我々のミッションは依頼元が複数の元素をブレンドし真空鋳造した原料を、薄いシート状に製作することになります。
ケイ素などが原料に含まれると機械特性として脆くなる傾向になるので、ロールで伸ばす際に割れが発生するリスクが高くなり細心の注意が必要となります。

 

 

下記工程でシート状に圧延加工を行った

 

1.熱間鍛造
原料は鋳造品なので、金属組織は鋳造組織なので薄く伸ばすことができないので、厚み10mm程度まで熱間鍛造加工を行い、金属組織が微細化した状態の鍛造組織改質した。

 

2.酸化皮膜除去
熱間鍛造後は材料表面に酸化被膜が形成されるため酸化皮膜を除去作業を行った。ショットピーニングを使用するとメディアの酸化アルミニウムが表面に残るため、コンタミを防ぐ目的でフライス盤による切削加工で表面の酸化皮膜の除去を行った。

 

3.冷間圧延加工
冷間圧延加工にて、厚み0.5、0.3、0.2、0.1、0.05mmの5サイズの薄板を製作した。

 

4.磁性熱処理
磁気特性は金属組織の大きさに影響を受けるため、水素ガス雰囲気よる連続光輝焼鈍処理を行い、焼鈍温度とキープ時間を変更した数条件で処理を行い最適な磁気特性をの相関を確認した。

 

上記の作業で本開発に必要な素材を製作した。

磁気冷却モジュールの製作

※開発案件なので構造は開示いたしかねます。

 

磁性材料は応力の影響を受けるためモジュールは精密ロウ付けにより接合を行った。
ロウ付けは溶接に比べ低温で接合することで金属組織に与える影響を最小限に抑えることができます。

 

配線は異種金属接合加工によって磁性材料との接合を行った。
銅との接合は比較的容易だった。

まとめ

将来のエネルギーを考えた場合に水素の液化は重要なファクターであることから、磁気冷凍技術の開発に携わることができたのはMM-Lab.にとっても知見の蓄積に有意義だった。

 

今後の課題として、
磁性材料の成分の最適化は、大学・研究所の役割ですが、MM-Lab.としては生産技術面で要望がありました。磁気焼鈍後に材料の整形を行うと効率が大幅に悪化する事から、磁気焼鈍前に部品を整形してから歪を与えないように焼鈍処理を行う技術の開発が今後必要になる。

Facebook

トップへ戻る