新素材と製造技術の融合で高機能化を提案する企業連携 │ MM-Lab.

細穴用スピンドルの回転精度の向上について

細穴加工メーカーから、マシニングセンタ用のスピンドルの振動及び振れを、最小限に抑えたいとのお話を頂き、MMLab.は機械メーカーではないのですが、素材からの提案として協力させていただきました。

 

回転精度を向上させるためには、回転ヘッドの軸受けを、転がり軸受(ベアリング)からすべり軸受け(メタル)に変更することが最も効果があります。
理由はベアリングが点接触なのに対しメタル軸受けは面で接触するため、ブレが減少するからです。

 

しかし、ただメタル軸受けに改造するだけでは、最大回転数、耐久性、機械強度など問題があります。

メタルの摩耗対策について

メタル軸受けは回転軸を面で保持するため、回転精度に優れますが、ベアリングに比べると、フリクションロスが大きく高回転に対応するのは、軸と軸受けが直接接触しない状態、流体潤滑を維持する必要があります。

 

フリクションロスを減少させるため、回転軸とメタル軸受けを鏡面にすると、一見よさそうに思いますが、潤滑油の引き込みが弱くなり、回転軸とメタル軸受けが直接接触する状態、境界潤滑になりやすく摩耗の原因になります。

 

回転軸に細溝を切ることで、オイル経路を作ることで潤滑特性は改善するといいますが、転がり抵抗はあまり変化がないように思えます。

IHP処理+回転軸の効果について

プレス金型や伸線ダイスなど、金属材料の塑性加工は負荷が大きいため、潤滑切れ=焼き付きとなるため、潤滑に関連する表面処理は進んでいます。
従来からDLC処理や窒化チタンなど超高硬度な表面処理が使われてきましたが、近年では自動車関連のハイテン鋼に対応するため、高潤滑タイプの表面処理か注目されています。
いわゆるマイクロディンプル処理で、硬度で金型を保護するのではなく、潤滑特性で流体潤滑を強固に維持させ、金型とワークの直接接触を防止し、焼き付きと摩耗を防止します。

 

実際に鞄本クロス圧延のIHP処理を施したところ、メタルなのにベアリングのように軽く回るようになります。
穴ダイスなど塑性加工の面圧に比べると、回転軸受けの面圧ははるかに低いため、耐久性も問題ないと思われます。

マイクロディンプルの潤滑について

マイクロディンプル処理は潤滑油があってこそ能力を発揮するため、ベアリングと違い潤滑油の供給は必須です。
IHP処理のマイクロディンプルは潤滑油の引き込み効果が強いため、ポンプによる圧送は必要なく、ニップルから重力供給で十分です。

 

マイクロディンプルの回転軸は、保持効果が高いため、かなり粘度の低い潤滑油でも油膜切れが発生しませんでした。
高回転時でも発熱はほとんど無く、回転軸部からの異音の発生も皆無です。

軸受け部の材質について

軸受け部は焼入れ鋼の研磨仕上げである必要はなく、砲金または真鍮で十分の耐久性があります。
MMLab.としてこのメタル軸受けを販売しているわけではないため、検証数は少ないのですが、確実にスピンドルのブレが減少し高速回転が可能になりました。

 

回転軸に長いストレート部があれば、軸受け面積が増すため、さらに回転精度が向上すると思いますが、回転軸を新たに作り直すのはコストがかかるので、検証はできていません。

 

興味がありましたら、軸受けをベアリングからメタル軸受に改造してみてはどうでしょうか?

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