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鉄材と機能性

熱材

いまさら鉄ですか?と思うかもしれません、しかし金属材料のなかでも鉄材は、とても重要だと思います。どうぞお付き合いください。

 

鉄に1%未満の微量の元素を加えることで、強度、硬さ、耐熱、接合性などが向上します。
鉄材は構成元素の99%が鉄なので、ニッケル合金などに比べると安価なのが最大の特徴だと思います。

 

ニッケルやクロム、モリブデンなどを大量に加えて強度に優れた材料が完成しても、自動車のような量産にはコスト面から使用できません。
ここではあくまでも鉄が主役で、添加剤程度に元素を加えることで、機械特性を向上させたものや、近年流行しているハイテンなど説明していきます。


一般的な鉄材の種類と特徴について

鉄(Fe)に1%未満の微量な元素を添加すると、様々な機能的な特性が得られます。まずは代表的な鉄材について説明します。

 

SS材
一般的に鉄材と言えば軟鉄と呼ばれる、SS材がもっとも使用さる材料だと思います。
SS400などと表記され、数字の400とは引っ張り強度の下限値です。SS400なら引っ張り強度の下限は400N/mm2になります。切削、溶接などの加工性に優れ、様々な分野で使用されます。

 

S45C
炭素鋼と呼ばれる材質で、鉄に0.45%程度の炭素を加えた材料です。
引っ張り強度が690N/mm以上と、SS材に比べると強度に優れます。S45Cの45は炭素の含有量で、0.52-0.48%の中間値になります。炭素が含まれているため焼き入れが可能で、構成成分から低コストで強度に優れるため炭素鋼の中では最も流通量が多い材料です。
ただし炭素鋼は熱の影響を受けるため、溶接性が悪く、用途が限定される一面もあります。

 

SNB
高温特性を得るために鉄に微量のクロム、モリブデン、バナジウムを添加した材料です。
高温で使用されるフランジ等を接合するボルトなどに使用されるため、高温用合金ボルト材と呼ばれます。400℃付近での温度環境でも引っ張り応力が常温と比べほとんど変化がなく、鉄やS45Cよりも強度にすぐれます。

 

SCM435
鉄に微量のクロム、モリブデンを添加した材質で、通称「クロモリ」と呼ばれます。熱処理調質することで高強度がえられ、引っ張り強度は930N/mm2以上と、鉄の中では最も強度があります。500℃程度の環境下でも強度が低下しにくい特徴もあります。Cr(クロム)が含まれるため、耐食性もある程度ありますが、ステンレスには及びません。

 

代表的なものだけ説明しましたが、このほかにもたくさんの種類があります。
用途によって最適な鋼種を選択する必要があります。

ハイテンについて

ハイテンと言われる材料が、自動車のボディーなどに使われるようになりました。
強度に優れる材料を使用することで、厚みを薄くしても強度が低下しないため、軽量化につながり燃費が向上します。

 

ハイテンとは高張力鋼という素材で、「High Tensile Strenge Steel」の略称です。
従来使用されていた自動車ボディー用の一般鋼材は270Mpa程度ですが、ハイテンは340Mpa以上の強度があります。

 

ハイテンは鉄に微量のシリコン、マンガン等を添加することで強度がえられます。S45Cなどの炭素鋼を大きく違うことは、ハイテンは溶接が可能なのです。よって板金溶接による成型が容易なので自動車のボディーに使用されるようになりました。

 

現在では、チタンやバナジウムを添加したハイテンなどが登場し、1000Mpaを越える高強度な材料も使用されるようになりましたが、プレス成形の加工性に問題があるため、延性と強度が両立した材料が望まれています。

 

1000Mpaを越えるなど引っ張り強度に優れたハイテンですが、弾性率は一般鋼材と同程度なので、曲げ応力が必要な部分に使用しても効果が期待できません。

 

ハイテンのライバルはアルミニウム合金ですが、ハイテンは素材のコストが安く、溶接性に優れるため、今後航空産業やロケットなどの分野にまで広がっていく可能性を秘める新しい材料です。

鋳鉄について

鉄と言えば鋳鉄も説明しておく必要があります。
鋳鉄なんて古い材料と思うかもしれませんが、技術の進歩は依然止まらず、現在では素晴らしい機能性を持ちます。

 

昔から内燃機関や鍛造装置のライナーなどに使用されてきた鋳鉄は、その色から「ねずみ鋳鉄」と呼ばれます。一般的な炭素鋼の炭素量は0.5%程度ですが、ねずみ鋳鉄は炭素を3-4%と大量に添加します。
そのため炭素が遊離した状態になり、炭素が片状の黒鉛として現れ、この黒鉛が固体潤滑材として働くため、耐摩耗性に優れた特性があります。
しかし、片状の黒鉛の縁に応力が集中するため、脆いことが課題です。

 

技術は進歩し、近年では黒鉛を片状から球状化にした、ダクタイル鋳鉄なるものが開発されました。ダクタイル鋳鉄とは組織中の黒鉛を球状に改良し、強度や延性を改良した鋳鉄で、ダクタイルとは「延性のある」という意味になります。黒鉛を球場にすることで、脆さを克服でき延性にすぐれた鋳鉄が開発され、エンジンのシリンダースリーブなどに使用されています。

 

そして技術はさらに進んで、黒鉛がセメンタイト(Fe3C)炭化鉄として存在する、白鋳鉄なるものが現れました。セメンタイトはブリネル硬さはHB800程度と堅いため、ねずみ鋳鉄よりさらに耐摩耗性に優れます。
そして、熱処理を組み合わせることで、使用する用途により延性と硬度のバランスを調整することも可能です。

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